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国民生活センター 施工不良によるエコキュート転倒事例を公開

2017.07.28

カテゴリー :高効率給湯機

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 国民生活センターは7月27日、熊本地震によって転倒したエコキュートについて、業者の施工不良による転倒が疑われる事例を公開した。主な内容は以下の通り。
 相談内容は「熊本地震の前震で貯湯タンクが傾き、販売業者が現場を見に来たが、転倒防止措置などの対応をせずに帰った。2日後に本震が発生し完全に倒れてしまった。その後点検を受けたところ、修理不能で買い替え費用は自己負担になると言われた。新品は高額だったので壊れた給湯機のローンの支払いについて減額等を希望したができないと言われた。販売業者が前震発生直後に何らかの措置をしていたら本震で倒れることはなかったのではないか」というもの。
 これに対し同センターは施工不良の可能性について検討。施工説明書にある①アンカーボルトを打設する、②本体の脚部に開いている穴を通す、③角ワッシャー(金具)を挟む、④ナットで締め付ける、という行程を確認した上で、現場写真を調査したところ、打設されていたアンカーボルト3本のうち、1本はアンカーボルトのみ、1本はアンカーボルト、ナットと、角ワッシャー3枚、1本は角ワッシャーがなくアンカーボルトとナットのみが残っている、という状態だった。
 一級建築士に意見を求めたところ「アンカーボルトにナット等が残ったまま倒壊したとすれば、アンカーボルト部分に本体の脚部がくっついて残るか、脚部のボルト穴が損傷しない限り、アンカーボルト等が残ったままで本体が倒壊することはない。現場の写真を見ると、脚部のボルト穴の損傷はなく正常なままなので、施工時当初から設置説明書の指示に従った固定がなされておらず、そのために倒壊したものと推察される」との見解を得たという。
 販売業者は非を認めなかったが、「被災者である相談者を支援する立場から、ローン残債相当額の返金に応じたい」と同センターに提案。販売業者から相談者に約40万円が返金されたことを確認し、相談を終了した。
 同センターは「給湯機の転倒は周囲に人的・物的な被害が生じる危険性があるうえ、被災後の日常生活にも大きな影響を及ぼす。自宅の給湯器の設置時期(改正告示の施行前か後か)やメーカーの設置説明書どおりに施工されているかを確認することが、トラブルの未然防止のためには重要」と注意を呼びかける。

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